エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「高野さん、おはようございます!」

病院に着き売店へ向かうと、高野さんに挨拶をする。自分ではいつもどおり……のつもりだったのに、いつもよりテンションが上がってしまった。

「おはようございます、小松さん。なにか、いいことがあったんですか?」

クスクス笑う高野さんに、私は照れくささを感じながら小さく首を横に振った。

「すみません、朝から大きな声で。天気がいいからか、気分が乗っていました」

と、半分笑って誤魔化す。さすがに、先生とのお付き合いを話すことはできない。

だいたい、周りに話していいことなのか、先生に確認することを漏らしていたし……。

ここは、先生が勤務する病院なのだから、うかつに喋って迷惑をかけるようなことがあってはいけない。

先生との関係は胸に秘めつつ、高野さんと業務の話をする。タチバナ飲料の商品はありがたくも軌道に乗り出し、種類の拡大などを話し終えたとき、高野さんが思い出したように言った。

「そういえば、堂浦先生が小松さんのことを聞いてこられたんですよ」

「えっ⁉︎ 堂浦先生が……ですか?」

まさか、先生が高野さんに、私のことを聞くことがあるの? 不審に思いながら応えると、高野さんが補足した。

「堂浦先生といっても、柊也先生のほうじゃなくて、隆斗先生のほうですけどね」
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