エリート外科医と過保護な蜜月ライフ

先生と付き合うことになって一週間、連絡を取り合ったのは、先生が当直明けの朝にメールを送ってくれて以来。

私から連絡をしようと思ったりもしたけれど、どうしても気が引けてしまう。忙しいだろうと考えたら、メールの一通すら送れなかった。

それに、先輩の言葉も少なからず影響してしまっている……。

「すみません……。これを、堂浦さんにお渡ししていただきたいんですが」

仕事帰り、私が立ち寄ったのは先生のマンションだった。でも、事前に先生に連絡をしていない。

それは、きっと先生は勤務があるだろうと思ったから。気を遣わせたくなかったし、私が勝手にやりたかったことだから、わざわざ時間を作ってもらうのは申し訳なかった。

紙袋をコンシェルジュの人に渡すと、彼は愛想のいい笑顔を見せた。

「かしこまりました。堂浦様には、小松様からのお預かり物だと申し上げます」

「よろしくお願いします」

予想どおり先生は留守で、紙袋を預けるとマンションをあとにした。

今夜、持ってきたのは手作りのショコラケーキ。一緒に、ドライフルーツも入れてある。
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