エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「すみません。ちょっとボーっとしちゃってました。新商品の反応は、どうですか?」
ソンシリティ病院へ来ると、先生のことを思い出してしまう。きっと今も、先生は外科病棟にいるはず。
こんなに近くにいるのに、一目でも顔を見ることもできないなんて。切ない気持ちって、こういうことを言うんだな……。
「最近は、内科の堂浦先生も、周りの方に紹介してくださって」
「隆斗先生がですか? それは、とても嬉しいです」
先輩も、気を遣ってくれているんだ。先々週会ったときには、先生のことで忠告されて気落ちした部分もあっただけに嬉しい。
あのときの先輩の言葉は、そんなに気にしなくていいのかな……。
「珍しいですよ。堂浦先生……隆斗先生のほうは、あまり周りのスタッフとコミュニケーションを取りたがらないので」
「えっ? そうなんですか?」
高野さんの言葉が、素直に信じられない。私が知っている先輩は、社交的で面倒見のいい“お兄さん”のような人なのに。
怪訝な顔をする私に、高野さんは声を潜めた。
「小松さんがご存じの頃は、どうだったかは知りませんが、私たちが知っている隆斗先生は、一匹狼タイプの心を開かない先生なんです」
ソンシリティ病院へ来ると、先生のことを思い出してしまう。きっと今も、先生は外科病棟にいるはず。
こんなに近くにいるのに、一目でも顔を見ることもできないなんて。切ない気持ちって、こういうことを言うんだな……。
「最近は、内科の堂浦先生も、周りの方に紹介してくださって」
「隆斗先生がですか? それは、とても嬉しいです」
先輩も、気を遣ってくれているんだ。先々週会ったときには、先生のことで忠告されて気落ちした部分もあっただけに嬉しい。
あのときの先輩の言葉は、そんなに気にしなくていいのかな……。
「珍しいですよ。堂浦先生……隆斗先生のほうは、あまり周りのスタッフとコミュニケーションを取りたがらないので」
「えっ? そうなんですか?」
高野さんの言葉が、素直に信じられない。私が知っている先輩は、社交的で面倒見のいい“お兄さん”のような人なのに。
怪訝な顔をする私に、高野さんは声を潜めた。
「小松さんがご存じの頃は、どうだったかは知りませんが、私たちが知っている隆斗先生は、一匹狼タイプの心を開かない先生なんです」