エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
高野さんが言うには、総合サポート的な病院を目指したい先生とは反対に、隆斗先輩はあくまで疾患を治療することに重きを置きたいらしい。

それには先輩なりの理由があり、医師の人数が十分ではないこと、心理面的なサポートは、より専門家に頼むべきだということだった。

「でも堂浦先生は、深く心理面をサポートしたいというより、患者さんの気持ちに寄り添いたいということじゃないでしょうか?」

きっと私に喝をいれてくれたように、患者さんの気持ちをサポートしたい、そういうことじゃないかと思うけど……。

思わず先生をフォローしてしまったけれど、高野さんには怪しまれていなくて安心した。

「そこの線引きが難しいと、隆斗先生は思われているんでしょうね。どちらも素敵な先生ですけど、スタッフの評判でいうなら、柊也先生の方が高いんですよ」

そうなんだ……。先生が高評価なのは私も嬉しいけれど、先輩が誤解されているようで胸が痛む。

それとも、十代の頃の先輩とは変わってしまったのかな……。先生のことを、特殊な環境で過ごしたと言っていたくらいだし、兄弟の間に壁があるのかもしれない。

その後、高野さんとの打ち合わせを終えた私は売店をあとにする。先輩の話を聞いたせいか、心に引っかかりを感じながら歩いていると、不意に後ろから優しく肩を叩かれた。
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