エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「私に会うために……?」

偶然、私を見かけたのかと思ったけれど、そうじゃなかった……。

彼の想いに、胸が熱くなってくる。先生を抱きしめ返さない──、そう決めていたのに心が揺らぎそう。

愛おしい気持ちが込み上げてきて、先生の背中に手を回しかける。そのとき、先生の携帯が鳴り、彼はサッと私の体を離して電話に出た。

「はい。ああ、分かった。すぐに行く」

もしかして、急患が入った? それとも、なにかアクシデント? 私まで緊張が走り、気がついたら先生に向かって言っていた。

「早く行ってください」

すると先生は、真剣な表情のまま頷くとドアの鍵を開ける。

「また連絡する」

そう言い残し、足早に出ていった。私もすぐに部屋を出て病院をあとにする。

先生に会えたこと、そして抱きしめられたことに驚いて、まだ鼓動は速いまま。

まさか、会えるとは思っていなかった。そのうえ、日曜日に誘われるなんて……。

ただ一つ気がかりなのは、先生がどこか追い詰められているように見えたこと。

ほんの数分話しただけだから、そう感じたのかもしれないけれど、気のせいだったらいいな。

仕事が大変なのは、間違いないのだろうけれど……。

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