エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「久美……?」
背後から先生の声がして、慌てて振り向く。いつの間にか、先生が帰ってきていたみたい。
電気もつけずに立ち尽くす私は、彼の目に不審に映ったに違いない。
笑みを作った私は、先生に努めて明るく言った。
「お帰りなさい、先生。あんまり夜景が綺麗だったので、見とれていました」
すると、先生はリビングの電気をつけながら微笑んだ。
「そうか。この間は、ゆっくり見る時間がなかったからな。あれ? それは……?」
先生は視線を私の手に移す。一つは私の手作りクッキーだけれど、もう一つは……。
「あの、これは私の手作りクッキーです。それと、こちらは玄関ドアに掛かっていたんです。お花っぽいんですが……」
カードを読んでしまったとは言えない。勝手に見たことを軽蔑されたくなかったし、それに確認する勇気もなかったから……。
「ありがとう。花はこっちに置いておくよ」
先生は花の袋を先に受け取り、それをカウンターテーブルに置いた。ちらりと中を覗き、カードにも気づいているみたい。
でも、それを袋のなかから出すことはなく、表情一つ変えることなく読んでいた。
背後から先生の声がして、慌てて振り向く。いつの間にか、先生が帰ってきていたみたい。
電気もつけずに立ち尽くす私は、彼の目に不審に映ったに違いない。
笑みを作った私は、先生に努めて明るく言った。
「お帰りなさい、先生。あんまり夜景が綺麗だったので、見とれていました」
すると、先生はリビングの電気をつけながら微笑んだ。
「そうか。この間は、ゆっくり見る時間がなかったからな。あれ? それは……?」
先生は視線を私の手に移す。一つは私の手作りクッキーだけれど、もう一つは……。
「あの、これは私の手作りクッキーです。それと、こちらは玄関ドアに掛かっていたんです。お花っぽいんですが……」
カードを読んでしまったとは言えない。勝手に見たことを軽蔑されたくなかったし、それに確認する勇気もなかったから……。
「ありがとう。花はこっちに置いておくよ」
先生は花の袋を先に受け取り、それをカウンターテーブルに置いた。ちらりと中を覗き、カードにも気づいているみたい。
でも、それを袋のなかから出すことはなく、表情一つ変えることなく読んでいた。