エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「お礼……ですか?」

それは今、言葉で直接もらったのに。まだなにかあるの? 不思議に思っていると、先生はリビングの壁際にあるチェストのほうへ歩きはじめた。

途中、クッキーをリビングテーブルにそっと置いた先生は、私にソファに座って待っているよう言う。

ますますどういうことか分からないまま、私は彼の言うとおりにした。

先生がチェストからなにかを取り出し、私の隣に座る。そして、小さな箱を私に見せた。

「久美と付き合い始めてから、今まで知らなかった自分の一面に気づいたんだ」

「え? 知らない一面……?」

「そう。独占欲。俺は恋人を、こんなに独占したいと思ったことはなかった」

そう言った先輩は、小箱をそっと開ける。するとそこには、輝くダイヤの指輪が入っていた。

「先生、これ……」

彼の言葉にも、指輪にも、どちらにもドキドキする。胸が熱くなるのを感じながら、先生を見つめた。

「きみに毎日感じてほしいんだ。俺のことを……」

優しく私の左手を取った先生は、薬指にするりと指輪をはめた。

シンプルなデザインだけれど、ダイヤの埋め込み部分が花の形になっていてとても可愛らしい。ライトに反射して、キラキラと輝いていた。
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