エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「先生……。私も、会いたかったです。連絡をしてもいいのか、どうしても分からなくて」

自然と先生の背中に手を回し、彼をそっと抱きしめる。先生の温もりを感じていると、離れたくないと思ってしまった。


「そうだな。久美は、俺に気を遣いすぎだ。きみが思うより、俺はきみに会いたいと思ってる」

そう言った先生は、ぎゅっと強く私を抱きしめたいあと体を離した。

「先生?」

もう少し、抱きしめていてほしかったのに……。先生は立ち上がると、指輪を出してきたチェストへ向かった。

思わず、彼のあとを追うようについていく。独り占めしたいと思っているのは、先生だけじゃないな。私も、同じ──。

「これも渡しておく。これがあれば、いつでも会えるだろう?」

「え? これは……。先生の部屋の……」

「鍵だよ。これがあれば、久美はいつでもここへ来れる」

カードキーを渡され、まじまじと見つめていると、ふいに抱きかかえられた。
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