エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「すみません、先輩。私には高級過ぎて……。普通のお店ではダメですか?」
「それは、値段が高いからってこと? 今夜は俺がご馳走するし、お勧めの店だから久美ちゃんを誘ってるんだ。遠慮しなくていいよ」
笑みを浮かべた先輩は、私の側に戻ってきて手を取った。先生の温かい手とは違い、隆斗先輩の手は冷たい。
「ですが……」
「遠慮するなんて、水くさいじゃないか。学生の頃からの知り合いなんだし、気さくに接してほしい」
そう言われてしまい、それ以上強く反論することができなかった。たしかに、高校生の頃は、慕っていた先輩だったけれど……。
半ば強引に引っ張られ、エレベーターに乗る。数人、同じエレベーターに乗る人がいて、私と先輩は黙っていた。
その間に、さりげなく先輩の手をほどく。先輩も、それ以上触れることもなく、真っ直ぐ前を見据えていた。
ほどなくしてエレベーターは最上階に着き、店へ向かう。予約制の文字が見えて、先輩に声をかけていた。
「予約が必要みたいですよ?」
「大丈夫、予約してあるから」
涼しげな顔で言った先輩は、私の背を軽く押して店へ促した。
私と約束をしていたわけでもないのに、予約をしていたということ?
どうしてそこまで……?
「それは、値段が高いからってこと? 今夜は俺がご馳走するし、お勧めの店だから久美ちゃんを誘ってるんだ。遠慮しなくていいよ」
笑みを浮かべた先輩は、私の側に戻ってきて手を取った。先生の温かい手とは違い、隆斗先輩の手は冷たい。
「ですが……」
「遠慮するなんて、水くさいじゃないか。学生の頃からの知り合いなんだし、気さくに接してほしい」
そう言われてしまい、それ以上強く反論することができなかった。たしかに、高校生の頃は、慕っていた先輩だったけれど……。
半ば強引に引っ張られ、エレベーターに乗る。数人、同じエレベーターに乗る人がいて、私と先輩は黙っていた。
その間に、さりげなく先輩の手をほどく。先輩も、それ以上触れることもなく、真っ直ぐ前を見据えていた。
ほどなくしてエレベーターは最上階に着き、店へ向かう。予約制の文字が見えて、先輩に声をかけていた。
「予約が必要みたいですよ?」
「大丈夫、予約してあるから」
涼しげな顔で言った先輩は、私の背を軽く押して店へ促した。
私と約束をしていたわけでもないのに、予約をしていたということ?
どうしてそこまで……?