エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
店のなかは、柔らかな明かりに包まれていて、テーブル席が十数席ほどある。

私たちは、奥の個室へ案内された。店員さんの口調から、先輩はかなりVIP待遇をされているみたいだ。

しかも、先生の話も出てきて、先生たちは隣の個室へ案内されているらしい。

夜景が見渡せる個室は、完全なプライベート空間で、テーブル席の他にソファも置かれている。

テーブル席に、先輩と向かい合って座った私は、彼を睨んで言った。

「先輩、先生方と鉢合わせすると分かって、ここへ私を誘ったんですか?」

杉内先生の言葉からそう悟った私は、先輩に問い詰めるように聞く。すると、先輩は微笑んだまま応えた。

「怒ることないだろ? 別にやましいことはないんだから」

「そうですけど。でも……」

先輩と二人きりで食事に来ているのだから、先生に誤解されるかもしれない。

そう考えたらいたたまれなくて、不安が胸に広がっていた。

「久美ちゃんが、そこまできにする必要ないんだよ。兄貴だって、なにしてるか分からないじゃないか」

「え?」
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