エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生の笑顔に調子狂います
私が利用するリハビリルームは、入院患者用で、あの男の子の姿を見かけた。

お母さんらしき痩せた女性が、男性理学療法士さんと歩行練習をしている。

その姿をあの子は、真剣に見つめていた。それがとても印象的で、私の心にずっと残っているーー。


「小松さん、だいぶ歩けるようになったね」

リハビリを開始してから十日ほど経った頃、理学療法士さんに笑顔でそう言われた。

私を担当してくれている、三十代の男性理学療法士さん、伊藤さんだ。

今は車椅子は使っていなく、松葉杖で移動ができるようになっている。

「はい、ありがとうございます」

私も笑みを返しながら、スポーツドリンクを口にした。まだまだ体に負担がかかるから、汗を必要以上にかいてしまう。

「回復も早いし、安心したよ。ただ、あまり無理をしすぎてはいけないからね」

伊藤さんに言われ、私は照れくさいながらも微笑み返した。リハビリにやる気を出さなかった私を知られているだけに、少し恥ずかしい。

「それでは、また明日お願いします」

彼に会釈をして、リハビリルームを出る。すると、すぐに堂浦先生に声をかけられた。

「小松さん、リハビリを頑張ってるんだな」
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