エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「先生が、そんなにお喋りな雰囲気には見えませんが」

先生と先輩の仲が、よくないことは間違いなさそう。まるで、先生が私との関係を吹聴しているかのような言い方。

けれど、先生がそういうことをする人じゃないと分かっているから、聞き流すことなんてできなかった。

「そうだよな。たしかに、兄貴はベラベラ喋ったりはしていない。聞かれて答えてるって感じだな。でも、今まで恋人はいなかったんだから、それはそれは院内では大きく噂になってるよ」

先輩が言うには、患者さんから聞かれることが多く、それに答えているらしい。さすがに、私の名前までは出していないみたいだけれど、又聞きした職員の人から質問を受けるみたいだった。

「関係者には、久美ちゃんのことを説明してるみたいだね。まあ、病院に出入りしている人だから、隠さないほうがいいと思ったんだろうけど」

「私も、上司に報告をしました。いろいろ、迷惑をかけたこともあったので」

先生が、私の考えを無視して行動しているわけじゃない。それを強調したくて言うと、先輩にまた小さく笑われた。

「久美ちゃんは、それでもいいかもしれない。だけど、兄貴の場合は、自分の立場っていうものを分かっていないんだ。自分の恋人だと言ったことで、久美ちゃんが院内でどう見られるか、それを気にしてないんだろうな」

「先輩……。なにが仰りたいんですか? 私たちは、お付き合いをしていることを隠さないでいようと決めたんです。どんな目で見られても、私は構いません」
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