エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先輩が、どうしてここまでして、先生との交際を反対するのかが分からない。

先輩にとって私は、そんなに先生にふさわしくないのかな。少し落ち込み気味に、化粧室へ向かう。

あの部屋は落ち着かなくて、離席を許してもらった。せめて、個室でなければよかったのに……。早く帰らせてもらおう。

そんなことを考えながら、足取り重く歩いていると、ふいに背後から腕を掴まれた。

「久美……」

振り向くと、そこには先生が立っている。驚きと嬉しさと、気まずさが入り混じりながら彼を見つめた。

「先生……。どうしてここに?」

「電話がかかってきて、部屋を出ていたんだ。きみこそ、今夜はなんで隆斗といる?」

「あの……。それは……」

やっぱり、先生は怒っている……。周りを気にするような小さな声だけれど、硬い口調でまったく笑みもない。

どう答えたらいいか困っていると、先生は私を引っ張り廊下の奥へ進んだ。

化粧室を通り過ぎ、先生がドアを開けて入った場所は、非常階段だった。
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