エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
さすがに、それは申し訳ないし、気まずすぎる。丁重にお断りすると、先輩は小さく微笑んだ。

「分かった。じゃあ、今夜はここで。久美ちゃん、また誘うよ」

「えっ? それは……」

こんな風にプライベートで会うのは、今夜限りにするつもりだったのに。戸惑う私の顔を覗き込み、先輩は言った。

「兄貴と付き合ってること、必ず後悔するから。俺がいくらでも、相談に乗るよ」

含みのある言い方をした先輩は、私の肩を軽く叩くと、ホテルの駐車場へ歩いていった。

やっぱり、先生とのお付き合いは反対みたい。それにしても、先輩はなにを知っていて、“必ず後悔する”って言ったんだろう。

矢吹病院の話もしていたし、時間があるときにでも調べてみようかな。

大通りに出て、タクシーを拾うと乗り込む。そして自宅へ着くと先生にメールを送った。

帰ったことを報告しようと思ったのは、心配しているといけないから。すると、彼からの返事はすぐに返ってきて、“おやすみなさい”の挨拶を交わす。

先輩の言葉が気になりながらも、いつ先生のマンションへ行こうかなと、それで思いはいっぱいになっていた──。
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