エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生は、いつだって私のことを考えてくれているもの……。“同棲”という言葉に、少し迷いがあったけれど、気持ちが吹っ切れた気がする。

「先生、土曜日からお邪魔していいですか?」

《ああ、もちろん。ちょうど、今週の土曜日は、休みなんだ。俺も手伝うよ》

「ありがとうございます」

一緒に生活をしても、それ違いは多いかもしれない。それでも、今よりはたくさん先生と接することはできるはず。

先輩の言葉や、恵さんのことなど、気にかかる部分はあるけれど、それも過ごす時間が長ければ、自然に分かると信じている──。


「荷物、これでいい?」

土曜日の午前十時。先生は約束どおり、私のマンションへ来てくれた。旅行用に使っていたスーツケースと、スポーツバッグに荷物を入れると、彼の車に運んだ。

「はい。ひととおり、準備しましたので」

今日から、先生と二人きり……。それを想像すると、ドキドキしてくる。助手席に静かに乗ると、車は走り始めた。

家具など、大きいものはそのままにしてある。私の部屋は契約したままだから、今後のこともしっかり考えていこう。

どれくらい、先生と一緒にいられるんだろう……。そのことを考えないわけではないけど、今は二人の時間を大事にしたい。
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