エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
ダイニングテーブルに夕食を並べていると、先生がお風呂から上がってきた。

半乾きの彼の髪が妙に色っぽくて、思わず視線をそらす。

今までも、お泊りをしたことがあったけれど、お風呂上がりの先生をまともに見たのは初めてかも……。

「おいしそうだな。久美は、お菓子作りだけじゃなくて、料理も得意なんだ?」

「は、はい……」

今さらながら、ドキドキ緊張してしまう。私って、なんだかんだいって、先生をどこかで“医師”として見ていたんだな……。

お風呂上がりの姿は、完璧にプライベートな姿で、“男性”としての彼を意識してしまう。

ぎこちなく返事をすると、ふいに先生に顔を覗き込まれた。

「どうかした? なんだか、様子が変だけど」

「えっ⁉︎ そ、そんなことないですよ。さあ、ご飯を食べましょう」

ダメダメ、こんなことだと今日からの日々に身がもたない。努めて冷静を装ってみたものの、意識してしまった気持ちは落ち着かなかった。

先生は不審な表情をしながらも、私の向かいに座る。そんな彼の様子に気づいた私は、小さく笑って誤魔化した。
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