エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生は、私が作った煮魚や味噌汁、そして野菜の煮物をおいしそうに完食してくれた。

食事中は、あまり会話が進まず、私は料理をどう味付けしたかなどを話すだけ。

一人、勝手に今の状況を意識してしまって恥ずかしい。

「ご馳走さま。本当においしかったよ」

「よかった、お口に合って……。じゃあ、私は片付けてきますね」

笑顔を作り、食器をシンクへ持っていこうと立ち上がると、彼も同時に立ち上がった。

そして、私の腕を掴むと、小さく微笑んだ。

「やっぱり変だ。ご飯を作っている間、なにかあった?」

もしかして、先生は心配しているのかな……。だとしたら、それは申し訳ない。

離れているときより、ずっと話しやすい環境を彼が作ってくれたと思っている。

先生は、自分が私を独り占めしたいからだと否定していたけど、私を想っての言動だと分かっている。

だったら、私も恥ずかしいなんて言ってないで、本当の気持ちを伝えなくちゃ……。

「今さら、意識しちゃったんです。先生が……その男性だっていうことを」
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