エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
翌朝、少し早く先生がマンションを出た。玄関で、軽くキスを交わせただけで、どんなことがあっても、一日頑張れる気がする。

いつも以上に背筋を伸ばし、出勤をした。今日は、久しぶりにソンシリティ病院へ訪問する日。

先生は日中は手術らしく、偶然でも会うことはない。それでも、近くに彼がいる──。それだけで、なにより嬉しかった。

「こんにちは、高野さん。お久ぶりです」

売店へ着くと、高野さんが笑顔で出迎えてくれる。いつもどおり、奥の部屋へ案内してくれた。

「本当にお久ぶりですね。商品の評判はよくて、だいぶコンスタンスに売れています」

パイプ椅子に座ると、高野さんがインスタントコーヒーを出してくれた。

「本当ですか? よかった」

ホッと胸を撫で下ろす。復帰してから、以前ほどではないながらも担当先が増えている。

でも、売上でいうと目標には達していなく、少し焦りがあった。だから、高野さんの言葉に安心した。

「小松さんが作ってくれたPOPがいいんですよ。そういえば、小松さんは、柊也先生とお付き合いされているんですよね?」
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