エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「コースを頼んでいるから、堪能してね。さあ、座って。私、さっそく小松さんにお願いしたいことがあるから」

恵さんと向かい合って座ると、彼女を見据える。強い眼差しを向けていないと、心が折れそうになるくらい、恵さんのオーラは圧倒的だった。

「お話って、なんでしょうか?」

「ストレートに言わせてもらうわ。小松さん、柊也さんと別れてもらえません? もちろん、お礼はするわ」

「な、なにを言っているんですか? 先生とは別れません……。それに、お礼って」

恵さんの言うことに、とてもついていけない。もっと、まともな会話ができると思っていたのに……。

さすがにムッとした私は、席を立つことを考えた。これなら、先生に直接聞いたほうがいい。

すると、恵さんは私を見下すように目を細めて言った。

「二年後くらいを目処にね、ソンシリティ病院と、矢吹病院は密接に連携を組むことで話を進めているの」

「どういう、意味ですか?」

「うちはね、循環器科が得意なんだけど、高度な心臓オペは、他の病院にお願いするのね。リスクも高くて、なかなか先生の確保が難しくて」

矢吹病院は、難易度が高い手術ができる先生が多いソンシリティ病院と、手を組みたいらしい。
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