エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
そのなかでも、群を抜いて技術力が高い堂浦先生を娘婿に迎えたいと、矢吹院長は考えているとのことだった。

「そういうことなのよ。矢吹病院とソンシリティ病院がもっと連携できれば、患者さんのためにもなる。柊也さんの経営ビジョンの助けになると思うの」

先生の経営ビジョン……。そうだよね。先生は、トータル的に患者さんと向き合いたいと言っていたっけ。

矢吹病院との連携は、その助けになるの?

「どうして、それが恵さんとの結婚になるんですか?」

自然に湧いた疑問をぶつけると、恵さんは笑みを保ったまま答えた。

「なにか分かりやすい絆がないと、後々問題が起きたとき困るでしょう? 柊也さんは、未来の院長。資金面でも技術面でも、私は彼の役に立つわ」

それを言われると、私はなにも返せない。ごく一般的なサラリーマン家庭に育った私には、恵さんのような力はない……。

「小松さんは、柊也さんに与えてあげられるものはある? 愛とか、抽象的なものはダメよ」

「お金とか、技術提供とか、それは無理です……。でも、それがないといけないんでしょうか?」
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