エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「当たり前でしょう。柊也さんは、ソンシリティ病院をもっと発展させたいんですよ? それなのに、恋人が無力の人じゃね……」

恵さんはそう言うと、クスッと笑った。その間にも、料理が運ばれてくる。

手をつける気になれない私とは違い、恵さんはご機嫌よくスープを口にしている。

「あら? 食べないんですか? 遠慮しなくていいですよ。今夜は、病院の経費で落ちますから」

「いえ、お金はお支払いします……」

恵さんにも、矢吹病院にも奢ってもらう理由はない。料理はもったいないからいただくけれど、帰りに自分の分は恵さんに渡そう。

「恵さん……。気になっていたんですが、どうして私が分かったんですか? お会いしたことなかったのに」

「教えてもらったからです。ソンシリティ病院に小松さんが来ていたとき、私もいたんですよ。遠目で、あなたを確認させてもらいました」

「そうですか……」

いったい、いつ見られていたんだろう。恵さんに、私を教えたのは先生?

そういえば、以前院内で偶然先生に会ったっけ。あのときは、病院のなかだというのに、彼に抱きしめられてドキドキしたけど、そのときかもしれないんだ……。
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