エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「小松さんが柊也さんと別れなくても、私たちは結婚します。それだけは、覚えておいてくださいね」

ニコリと笑った恵さんに、私は返す言葉が見つからなかった。結婚は、本当なの?

いくら、病院が関わっているといっても、先生に意思がなければ、無理やり結婚なんてするはずない。

そう信じていたいのに、ほんのわずかでも疑惑を持ってしまう。

早めに、先生に相談しよう。まったく落ち着かない恵さんとの時間を切り上げたくて、食事を済ませた私は、彼女の側に現金を置いた。

すると恵さんは、怪訝な顔をした。

「いらないですよ。ここは、経費で……」

「奢っていただく理由がありませんから。お先に、失礼します」

会釈をすると、部屋を出る。恵さんから、呼び止められることはなかった。

きっと、彼女は自分が先生の結婚相手だと、私に言いたかったんだろうな。

それにしても、二人の結婚話は、いつから出てきた話なんだろう……。

悶々と考えながら、エレベーターに乗り込みロビーへ向かう。十数秒後、エレベーターを降りた私は、背後から声をかけられた。

「久美ちゃん」
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