エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
落ち込みそうです
振り向くと、隆斗先輩が立っている。黒いシャツにベージュのパンツスタイルで、足元は革靴だ。

まさかの偶然に、私は驚きを隠せなかった。

「先輩⁉︎ どうしてここへ?」

ここのホテルで会って以来だから、なんだか気まずい。学生の頃みたいに、気さくに接することができなくなっていた。

「たまたま私用で来てたんだけど、久美ちゃんたちを見かけてね。気になって、待ってたんだ」

「え? 私たちって……。まさか」

恵さんと一緒のところを見られていたってこと?

「そう、恵さんといたろ? 兄貴の結婚相手。もしかして、なにか言われた?」

「自己紹介を……」

先輩も、もちろん恵さんを知っているみたい。まさか、同じホテルに先輩もいたなんて、想像もしてなかった偶然に驚いてしまう。

「自己紹介……か。恵さん、自分が兄貴の結婚相手とか、言ったろ?」

「はい……」

小さく返事をすると、先輩は口角を上げた。

「だから、言ったじゃないか。兄貴は、病院のためなら久美ちゃんを裏切るって」
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