エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先輩が本気で言ってくれているなら、それはとても光栄。だけど、高校生の頃から、先輩は先輩でそれ以上でも以下でもない。

私は、なにがあっても先生が好き……。

「だけど、結局は恵さんと結婚するよ。それまで夢を見ておく?」

「先生に、直接聞いてからです……」

先輩に会釈をすると、足早にホテルをあとにした。ほんの二時間ほどだったのに、どっと疲れが込み上げる。

今夜は、先生がいなくてよかったかもしれない。頭のなかを整理したいから、一人になりたかった──。


翌朝、私が出勤するまでに、先生が帰ってくることはなかった。一人で過ごした昨夜は、慣れない部屋のせいか、恵さんや先輩に会ったせいか、寝付けられなくて今朝は体が重い。

そんななか出勤をすると、さっそく課長から声をかけられデスクへ向かう。

「矢吹病院の件なんだが、先方から話を進めるのを少し待ってほしいと、連絡があったんだよ」

困ったようにため息をついた課長は、腕組みをした。

「金田さんから、ご連絡があったんですか?」

「いや、さらにその上に立つ事務長からだ。男性だったがな」
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