エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「うん。お見舞い、遅くなってごめんな。これ、どうぞ。久美ちゃんは、食事制限はないって聞いたから」

そう言って先輩が差し出した袋のなかには、プリンが入っていた。小さな瓶入りの……うちの会社のものだ。

「あ、ありがとうございます」

先輩は白衣姿だから、外で買ってきたとは考えにくい。袋もシンプルな無地の白色だし……。

ということは、病院内の売店で買ったということよね。ここにも、タチバナ食品の商品があるんだ……。しかも、これは新商品。

「どうかした? あっ、もしかしてプリンは苦手だった?」

プリンを凝視していたからか、先輩が心配そうに聞いてくる。私は慌てて、首を横に振った。

「違うんです。実はこのプリン、私が勤めている会社の新商品で……」

「えっ? そうなんだ。久美ちゃんの会社って……」

先輩は、メーカーまで見ていなかったようで、どことなく気まずそうに私を見ている。

そんな彼に、私は小さな笑みを向けた。

「タチバナ食品の営業をやってるんです。これ、新商品なんですよ」

「そうなのか? 久美ちゃん、大手に勤めてるんだな。凄いじゃないか」
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