エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
どちらにしても、かなり大変な状況には変わりない。一課だけでなく、会社としても大きな案件なだけに、簡単に白紙にはできなかった。

「とりあえず、午後に俺が事務長に会いに行く。話を聞かないとな」

「申し訳ありません。よろしくお願いします」

もしかして、恵さんとは関係なく、私に問題があったのかな……。

悶々としながらデスクへ戻ると、後ろを通りかかった後輩女子が、これみよがしに言った。

「いい気味」

冷たく放たれたその言葉が、心に突き刺さる。彼女は一課の後輩で、まだ勤続年数が二年目。

私とは離れたデスクにいるため、あまり話をすることがない。彼女も、私が先生と付き合っていることを、よく思っていない一人だった。

「気にすることない。営業の仕事には、トラブルは付き物だ」

見るに見かねたのか、隣の男性先輩社員が優しく声をかけてくれた。

課長とのやり取りは、しっかり周りに聞こえていたみたいで、バツが悪い。先輩に小さく笑みを向け、お礼を言った。

「ありがとうございます。白紙にならないように、頑張ります」

もし、今回の保留が、恵さんと関係していたらどうしよう。

仕事で結果を出すこと、それが周りから認めてもらうために必要だと思っているのに……。
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