エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
それから結局、矢吹病院の案件は保留になったまま。事務長に会いに行った課長からは、慎重に考えたいとしか言われなかったと聞いた。
理由も不審な感じがするし、やっぱり恵さんが関わっているの──?
「久美、なにか悩みでもある? 雑誌をめくる手が、ずっと止まってる」
久しぶりに先生と過ごす日曜日。今日は朝からゆっくりと、部屋で過ごしている。
外は雲ひとつない天気で、窓から爽やかな風が入ってくるほど。だけど、日頃忙しい先生のことを考えて、今日はゆっくり家で過ごすことにした。
ソファに先生と並んで座り、私はファッション誌を、彼はタブレットでなにかを見ているところだった。
「いえ、なんでもないです。ちょっとボーッとしちゃって。先生は、なにを見ているんですか?」
雑誌を閉じて、先生に笑みを向ける。恵さんと会ってから十日ほど過ぎたけれど、あれ以来彼女から接触はない。
先輩からも連絡はなくて、あの夜自体が悪い夢でも見ていたんじゃないかと思うくらいだった。
それとも、それだけ余裕とか……?
「ああ、俺は論文をね。海外の医師の論文を読みたかったんだ」
「海外?」
思わず覗き込むと、英語がびっしりと書かれている。目が眩みそうは文字に、思わず彼の顔を見た。
理由も不審な感じがするし、やっぱり恵さんが関わっているの──?
「久美、なにか悩みでもある? 雑誌をめくる手が、ずっと止まってる」
久しぶりに先生と過ごす日曜日。今日は朝からゆっくりと、部屋で過ごしている。
外は雲ひとつない天気で、窓から爽やかな風が入ってくるほど。だけど、日頃忙しい先生のことを考えて、今日はゆっくり家で過ごすことにした。
ソファに先生と並んで座り、私はファッション誌を、彼はタブレットでなにかを見ているところだった。
「いえ、なんでもないです。ちょっとボーッとしちゃって。先生は、なにを見ているんですか?」
雑誌を閉じて、先生に笑みを向ける。恵さんと会ってから十日ほど過ぎたけれど、あれ以来彼女から接触はない。
先輩からも連絡はなくて、あの夜自体が悪い夢でも見ていたんじゃないかと思うくらいだった。
それとも、それだけ余裕とか……?
「ああ、俺は論文をね。海外の医師の論文を読みたかったんだ」
「海外?」
思わず覗き込むと、英語がびっしりと書かれている。目が眩みそうは文字に、思わず彼の顔を見た。