エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「先生、これが分かるんですか?」

「もちろん。英語とドイツ語くらいは、分からないとね。仕事にならないだろう?」

そっか……。お医者さんたちって、ドイツ語を書くんだったっけ。もちろん、先生も……。

「喋れるんですか……?」

そう聞くと、先生はクスッと笑った。

「喋れるよ。海外のドクターとのコミュニケーションは、重要だから」

スゴイ……。改めて、先生の有能さを知った気がする。

感心したように先生を見ていると、彼はタブレットをテーブルに置き、私の頬に優しく触れた。

「次は、俺から質問。きみは、なにを隠してる?」

「えっ? 隠してるっていうのは……?」

ドキッとしたのは、恵さんが頭に思い浮かんだから。話そうかどうしようか、未だ迷いがあった。

「悩みごとがあるんだろう? 聞くよ。いつでも話を聞けれるよう、二人でいるんじゃないか」

先生はそう言うと、私をそっと抱きしめた。心配させている……。それなら、きちんと聞いてみよう。

一歩踏み出す勇気がなかったけれど、彼が声をかけてくれたことで決心がついた。
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