エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「きみの仕事のことが心配でね。それを聞いたら、俺の質問に答えるよ」

先生がなにを考えているのか分からないけれど、きっと私が答えないと教えてくれないと思う。

仕方なく、彼の質問に答えた。

「矢吹病院のお話は、今は保留になっています。先方から、待ったがかかってしまって……」

「じゃあ、話が進んでいないのか?」

険しい表情に変わった先生に、力なく頷く。

「私の力不足だったのかもしれません。でも、頑張りますから。さあ、次は私の質問に答えてくださいね」

努めて明るく振る舞う私を、先生は険しい顔のまま見つめる。ちょっと怖いくらいで、たじろきそうになった。

「花の中身を見たか……?」

静かな先生の声に、私は一瞬迷ったけれど頷いた。こんなところで、嘘をついたって意味がない。

「勝手に見てしまい、すみません。カードが目について、読んでしまいました」

素直に答えると、先生はゆっくり首を横に振った。

「謝ることじゃない。あのとき、きみに話せばよかったな」

「先生……。それは、恵さんのことですか?」

覚悟を持って尋ねる。ここまでくれば、先生は話してくれるに違いない。

「そう、恵さんのことだよ。もう気づいているかな? 彼女は、矢吹病院の院長の娘さんだ」
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