エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
彼の背中に手を回し、ギュッと強く抱きしめる。すると、先生はそれに応えるかのように、私の髪を優しく撫でた。

「疑われても、仕方ない。だけど、彼女はどうして久美のことが分かったんだろう」

「え? 先生が話されたんじゃないですか?」

「付き合っている女性がいるとは話したが、きみの名前も含めて、詳しいことは一つも話してない」

「そうなんですか?」

てっきり、先生が私のことを教えていたのかと思っていた。でも、違うとなると、一体誰が……?

ソンシリティ病院で私を見たと、恵さんは言っていた。その私は、売店で高野さんと話しをしているのだから、高野さんなわけがない。

他に、あの病院で私を知っている人は、看護師さんが数名……。でも、恵さんが彼女たちに聞くとも思えないし。

不審に感じられないように、私を知るには他には……。

「まさか、隆斗先輩が?」

先輩なら、恵さんとも顔見知りだから、彼女も声をかけやすいはず。

「きっと、そうだろうな。恵さんは、最初から隆斗と約束して病院に来ていたと思う」

先生の呆れたような口調に、私は彼の体を押し返していた。

「だとしたら、どうしてですか? 隆斗先輩は、なんでわざわざそんなことを……?」
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