エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「大丈夫です。だって、先生はきっぱり断ってくれたんですよね？ 私は、それだけで充分ですから」

「久美……。ありがとう。ただ、きみの仕事のことが気がかりだな」

ふと表情を曇らせた先生に、不安になってくる。なにか、心当たりでもあるのかな？

「それって、恵さんが関係しているかもって、そういうことですか？」

「分からないけどな。ただ、きみが矢吹病院の営業に指名されたと聞いたときから、少し疑わしいとは思ったんだが……」

と先生は言いながら、私の様子を伺っている。だから、初めて話したときに、あまり乗り気で聞いてくれなかったんだと分かった。

最初から先生は、裏がありそうだと思っていたんだ……。

「恵さんは、嫌がらせのつもりで、私に仕事を頼んできたということですか？」

自分の実力が、認められたわけじゃなかった……。それが分かって、落ち込んでしまいそうになる。

「もしかしたら、そういうこともあるかもしれない。でも、もちろん確証はないが……」

先生は、なにかを考えるように、しばらく黙ってしまった。

私も、仕事を思い返しながら、心当たりがないわけじゃないと感じていた。

金田さんが、最初に恵さんの名前を出していたこと、そして突然の保留。

先生の言うとおり、恵さんの嫌がらせなの……？
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