エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生の愛が私を強くさせます
「久美。悪かった。確信のないことなのに、いたずらに動揺させてしまった……」

すまなそうに言う先生に、私は笑顔を向けて、首を横に振った。

「そんなことないですよ。ちょっと天狗になりそうだったので、よかったかもしれません」

「天狗……?」

不審そうな先生に、私は大きく頷く。

「はい。だって、復帰して結構トントン拍子に、仕事が進んでたんですよ。それも、大口受注が矢吹病院から入ってきそうで」

「きみの、評価に直結するんだよな?」

「そうなんです。だから、私ってスゴイなぁなんて思いそうだったので。まだまだ、実力が足りない。それが分かって、よかったです」

実績がないのに指名されるなんて、おかしいと思っていた。でも、すべて恵さんが最初から仕組んだことなら、納得できるかもしれない。

「腹が立たないのか? 仕事で振り回されて、突然会いに来られたりもして。特に仕事は、きみの評価に関わることだ」

眉をしかめる先生に、私は微笑んだ。自分のことのように言ってくれる彼に、心は満たされる。

「悔しければ、指名されるほどの実力をつけろ。先生なら、そう言いませんか?」

そう応えると、先生は苦笑をした。

「きみには、負ける。そうだな、久美なら頑張れる。俺は、そう思うよ」
< 201 / 248 >

この作品をシェア

pagetop