エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「あ、分かってたんですか……?」

ドキドキしながら、先生を見る。彼の吐息が耳にかかったからか、とても意識してしまっていた。

「当たり前。きみが、それを気にしてるのがね」

「さすが、先生……」

私の心は、お見通しみたい。普段、あまり一緒に外出する機会がないせいか、改めて先生の華やかなオーラに気づいた。

それに、男性として魅力的な外見も……。恵さんが、嫌がらせをしてでも、先生と結婚したい気持ちは分からなくもない。

だけど……。やっぱり、先生を想う気持ちは負けないと思うから。

「先になにを見ようか? 陶器の店だけでも、何点かあるな」

最初に目に飛び込んできたのは、陶器類を売っている店。港の通り沿いに数キロに渡って、店や屋台が並んでいる。

衣料品の店などもあるみたいで、歩くだけでも楽しそう。

先生は、私の指に自分の指を絡めると、ゆっくりと歩き出した。

今さら、手を繋がれることに緊張する必要はないのに、なぜかとてもドキドキしてしまう。

先生のさりげなさが、余計にそう思わせるのかも……。

「あれ? 先生、あの船って外国のものですか?」
< 204 / 248 >

この作品をシェア

pagetop