エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「いいよ。気にすることじゃないだろう? だいたい、あれは俺も使うわけだし」

「そうですけど……」

こんなに、先生に甘えてばかりでいいのかな。

先生はカップが入った袋を受け取り、私たちは店をあとにした。

「先生、本当にありがとうございます」

「だから、いいって。さあ、他のものも見よう」

「はい」

今日買ったペアカップは、絶対に大切にしよう。他にお皿も買って、今夜はとびきり美味しいご飯を作らなくちゃ。

そう決めて、他の店もまわっていく。途中、数店好みの店があり、スープ皿やパスタ皿などを買う。

そして──。

「先生、アクセサリーまでありがとうございます……」

夕方になり、市場も終わりが近づき、私たちは駐車場へ向かう。

結局、今日買ったものは、全部先生が支払ってくれた。

それに、最後にはネックレスまで……。流石に申し訳なくなるけれど、先生は笑みを向けた。

「きみに、財布を出させるわけにはいかないからな。そのネックレス、久美によく似合う」

「ありがとうございます……」

外国人観光客がたくさん訪れていた店を覗くと、またも有名ブランドのアクセサリーショップだった。

つい、好みのネックレスに見惚れていると、先生が買ってくれた。花形のチャームに、真ん中にはダイヤが埋め込まれている。

市場というから、もっとカジュアルで簡単なものを想像していたけれど、高価なお店ばかりでビックリしてしまった。
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