エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「先生……。私だって、同じですから。先生を想う気持ちは、誰にも負けません……」

温かい彼の温もりのなかで、私は眠りについていた──。


恵さんと、もう一度会いたい。そう決心したのは、先生への気持ちは変わらないと自信を持って言えるから。

といっても、彼女の連絡先を知らない。病院へ電話をするわけにはいかないから、先生に聞いてみようと思うけれど、躊躇してしまい数日が過ぎてしまった。

恵さんに会おうと決めたのは、先生と別れない気持ちを伝えたいからだけれど……。

それを先生に言ったほうがいいのか、まだ答えが出ない。彼女の連絡先を聞くには、理由を伝えなければいけないし。

嘘をつきたくないけれど、本当のことを話すと、先生を心配させるかもしれない。

その葛藤があって、聞けれないでいた。そんな日々を過ごしていたとき、神妙な面持ちの課長に声をかけられた。

「小松さん、ちょっといいか?」

「は、はい……」

なんだろう。課長の表情の重苦しさ、そして呼ばれた場所が応接室だったことから、嫌な予感がする。

緊張しながら部屋へ入りソファへ座ると、課長が深く息を吐き言った。

「矢吹病院の案件が、白紙になったんだ」
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