エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「そんな……。違います。恵さんは、本当にワガママで……。さっきの受付の女の子だって、小松さんを冷たくあしらいたくなかったんですよ」

「金田さん……」

真剣な表情の彼女に、私は動揺する。

「だから、小松さんが来られたことを教えてくれたんです。私は、小松さんの営業に心を揺さぶられたので、事務長に正式に話を進めるようお願いしました」

事務長も、彼女の話を聞いて恵さんを説得しようとしたらしい。

だけど、それが恵さんの怒りを買ってしまったようで、すぐ話を白紙にしろと圧力をかけられたとか。

「事務長も私も、何度も恵さんを説得しようとしたのですが……」

恵さんに対しては、院長も弱いらしく、彼女がNOと言えば、そのとおりにするしかないらしい。

「だけど、それが嫌で……。私、もう一度交渉してみます。小松さん、少し待っていただけませんか?」

「金田さん……。ありがとうございます」

金田さんにだって、他に仕事があるはずなのに、こんなに手を煩わせてしまっている……。

とにかく申し訳なくて、彼女と別れてから、心が鉛のように重たかった──。
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