エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「お、お風呂ですか⁉︎」

思い切り動揺すると私と違い、先生は楽しそうに微笑んでいる。

「そう。一緒に入ったことないだろう? 風呂も夜景が綺麗に見えるから、二人で見よう」

そう言った先生は、半ば強引に私の手を取った。

「本気……なんですよね?」

顔が、赤くなっていくのが分かる。引っ張られるようにバスルームに行くと、先生は微笑んだ。

「冗談だと思った? きみをここまでからかうほど、俺は意地悪じゃないよ」

先生はそう言いながら、シャツを脱いでいく。逞しい彼の胸はだいぶ見慣れた気がするのに、直視できないほど恥ずかしい。

視線をそらしていると、彼が耳元で囁いてきた。

「ほら、久美も脱いで」

小さく頷いた私は、ゆっくり服を脱ぐ。とても照れくさくて、思わず両手で胸元を隠すと、お風呂へ入った。

バスタブからも見下ろせる夜の街の景色は、今夜も輝いて綺麗……。

二人でお湯に浸かったものの、先生の顔を見ることができず、夜景のほうに目をやっていた。

「久美……。なんで、外ばかり見てるんだ?」

先生が後ろから抱きしめてきて、私の鼓動は速くなる。さらに、うなじにキスを落とされ、体がピクンと跳ねてしまった。

「さっきも考えごとをしていたみたいだし、なにかあったのか?」
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