エリート外科医と過保護な蜜月ライフ

恵さんとの“約束”まで、あと三日。私は彼女にどう答えるべきか、そればかりを考えていた。

先生とは別れたくない。だけど、仕事のことだって、簡単には白紙を受け入れられない。

その思いが交錯して、答えが出せないでいる。悶々としながら仕事をしていると、向かいのデスクにいる女性社員の会話が聞こえてきた。

「課長って、今朝かなり部長に叱られていたんでしょ？ 気の毒」

「矢吹病院の件よね？ そりゃあ、あれだけの大型案件が白紙になるかって事態なんだから仕方ないよ」

「全部、小松さんのせい」

これみよがしに話してくるのは腹立たしいけれど、課長のことは知らなかったから驚いてしまった。

私のせいで課長が……？ パソコンを打つ手が、自然に止まる。

「へたしたら、来期は課長は左遷じゃない？ せっかく、花形一課の課長なのにね」

そんな……。矢吹病院の件は、私のせいで課長は関係ないのに。

焦る気持ちも込み上げてきたとき、ふと課長の言葉を思い出す。

“俺が責任を取るから”

それは、こういうことだったの……？