エリート外科医と過保護な蜜月ライフ

スーツ姿の先生は驚きを隠せないようで、慌てて立ち上がっている。

「先生こそ、どうして……」

混乱する頭で視線を動かすと、中年の男性と女性が、それぞれ二組いる。それに端には隆斗先輩も……。

さらに先生の隣の席には恵さんがいて、中年の男女が先生と恵さんのご両親なのだと分かった。

ソンシリティ病院の院長先生は初めて会ったけれど、先生によく似ている。それに、お母さんのほうは先輩と面影がそっくり。

そういう人たちが集まるなかで、どうして私が呼ばれたの？

ドア付近で立ち止まる私の側に、先生は心配そうに駆け寄ってきた。

「久美、誰かに誘われたのか？」

先生や恵さんのご両親は、私をかなり怪訝な顔で見ている。緊張して言葉が出ないでいると、スッと立ち上がった恵さんがこちらに来た。

「小松さん、答えを持ってきてくれたんですよね？」

「答え……？」

真っ先に不審げな反応をしたのは先生で、恵さんに険しい顔を向けた。

「ええ、そうです。小松さんは、仕事を取るか、柊也さんを取るか悩んでいたんですよね？ 答えは出ましたか？」