エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「それなら、ソンシリティ病院でお願いしますよ。彼女やタチバナ飲料の評判は、うちではいいのでね。そこは、僕がなんとでもします」

口角を上げる先生の表情は、どこか挑発的……。恵さんを見たあと、先生は穏やかな目で私に視線を移した。

「きみの様子がおかしいのは、気づいていたよ。今夜、話があるというのも、よくないことだろうとは思っていた」

「先生……」

やっぱり、気づいていたんだ。本当に、いつだって私のことを分かっちゃうんだから……。

「俺の話は、プロポーズだ。本当に気持ちが冷めてしまったなら、断ってくれていい」

「分かってるんですよね? 私の気持ち……」

涙が込み上げそうになるのを、必死に抑える。

「分からない。こればかりは、きみから直接聞きたいな」

「でも……」

先生からの思いがけないプロポーズは、言葉では表せないくらいに嬉しい。本当は受け入れたいけれど……。

そこに、私の仕事が絡んでしまうことに抵抗がある。

言葉に詰まっていると、恵さんのお父さんである矢吹院長が口を開いた。

「小松さん、でしたね。自分の気持ちに、正直になりなさい」
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