エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「だから、彼女に嫌がらせをしたのかね? 恵、もう恥を広げることはやめなさい」

「そうですよ、恵。なんて恥ずかしいことを……」

院長夫人も顔をしかめ、首を横に振っている。そんな二人を見た恵さんは、焦ったように隆斗先輩に視線をやった。

すると先輩は、冷ややかに口を開いた。

「負けだよ、恵さん。やり方が、露骨過ぎたね」

そう言って立ち上がった先輩に、今度は堂浦院長が驚いたように声をかける。

「どういうことだ? 隆斗、お前は恵さんと、なにか一緒にやっていたのか?」

「ああ、そうだよ。ちょっと兄貴に嫌がらせをね。だって、兄貴はワガママじゃないか」

先輩の言葉に、それまで黙っていることしかできなかった私は、思わず声をかけていた。

「先輩、どういう意味ですか?」

すると先輩は、私を一瞥した。

「病院を大きくしたいなら、おとなしく恵さんと結婚すればいいんだよ。兄貴は、小さな頃から大事に扱われてきた。なにもかも手に入れて、恋人まで自分の思うがままだろ?」
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