エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
ここへ来たときより、先輩の顔は晴れ晴れしている。先生と話ができてスッキリしたのか、その後先輩は「もう帰るよ」と立ち上がった。

先生と玄関まで見送りにいくと、靴を履いた先輩が私を済まなそうに見た。

「久美ちゃん、いろいろごめんな。いつか言ったこと、あれは俺の作り話だから」

「言ったこと……とは?」

先輩に言われたことは、それなりにたくさんあるからか、なんのことを言われているのか分からない。

すると、先輩は先生を恐る恐る見てから言った。

「ほら、兄貴は病院のことばかり考えて、久美ちゃんを裏切るとか言ったこと……」

「お前、そんなことまで……」

すっかり呆れ果てた先生は、隆斗先輩を睨んでいる。先生のその反応に、先輩は小さくなった。

「分かっています。先生がそんな人じゃないことは、良く分かっていますから」

笑顔で答えると、先輩はぎこちないながらも笑みを返してくれた。

「あ、それと隆斗。俺たち、籍はもう入れてるから。式が十二月なだけ」
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