エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
嬉しい……。商品を扱ってもらえることもだけど、私の思いも受け止めてもらえた気がする。

これで間接的にでも、堂浦先生たちの役に立てたらいい……。

「ありがとうございます! さっそく明日の朝、こちらにお届けに参ります」

思わず立ち上がり頭を下げると、高野さんにクスクス笑われた。少し照れくさい気持ちで、彼女に微笑む。

「仕事熱心なんですね。明日、楽しみにしていますよ」

「はい、よろしくお願いします」

その後、高野さんにもう一度お礼を言い、売店をあとにした。会社に戻ったらさっそく、課長に報告しなくちゃ。

軽い足取りで裏玄関へ向かう途中で、背後から声をかけられた。

「小松さん?」

振り向くとそこには、堂浦先生が立っていた。久しぶりに顔を見て、ドキッとしてしまう。

「先生……。お久しぶりです」

ゆっくり先生の側へ行くと、怪訝な顔をされてしまった。

「どうしたんだ? 検査……とかではないよな?」

「はい。実は……」

まさか先生は、私が病院に営業に来ているとは思っていないはず。

事情を説明すると、堂浦先生は口角を上げて笑顔を作った。そんな先生に、私は胸を高鳴らせてしまう。

「嬉しいよ。俺たちスタッフのことを考えて、営業に来てくれたのか」
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