エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
翌日、保冷バッグに商品を入れ、社用車で病院へ向かった。それほど大きな売店ではないので、商品は私だけで充分に運べる。

昨日と同じ裏口から入ると、真っ直ぐ売店へ行った。

「おはようございます、高野さん」

九時になり、病院には早くから外来の患者さんが溢れている。そういえば、内科医の隆斗先輩も、忙しいんだろうな……。

「おはようございます、小松さん。あら? それななあに?」

にこやかに迎えてくれた高野さんは、私が手にしている物を不思議そうに見た。

「あの、実は……。ポップを作ってきたんです。差し障りがあるようでしたら、持って帰りますので」

控えめに高野さんへ差し出すと、彼女は目を丸くしている。これは、少しでも先生たち職員の方たちにも気づいてほしくて、甘い物や野菜ジュースを摂取してほしいことを、絵柄付きで書いてきたものだった。

「タチバナのメーカー名は伏せてみました。病院という場所で、煽りすぎでしょうか? 少しでも、先生方の疲労回復に役立てればなと思いまして……」

野菜や果物、ヨーグルトの絵で、子供っぽいと思われるかもしれない。それに、医療関係者の方に、健康志向を訴えるのも失礼かも……。
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