エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
《ありがとう。嬉しいよ》

先生はそう言うと、今週の土曜日を指定してきた。当直がなく、夕方には勤務が終えられるらしい。

それでも万一、緊急の手術が入ったりしたら、連絡をもらうことになった。

電話を切り、先生との会話の余韻に浸る。特別な意味などないと分かっているのに、誘ってもらえて嬉しい自分がいる。

そうだ。先生の仕事終わりに会うのだから、なにかお菓子を作っていこうかな……。

甘いものが好きだと言っていたから、マドレーヌやカップケーキがいいかもしれない。

それを考えたら、なんだか土曜日が楽しみになってくる。先生とプライベートで会う緊張もあるけれど、せっかく誘ってもらったのだから、楽しめる時間にしたいーー。


翌日、午前中に高野さんに電話をすると、商品の売れ行きが好調だと言ってもらえホッとする。

それも、医師のなかで最初に買ってくれたのは堂浦先生だと聞いて、さらに嬉しくなってしまった。

どうやら先生は、医師仲間にも話してくれたらしく、他の先生や看護師さんも買いに来てくれたとか。

堂浦先生の優しさに、胸が温かさでいっぱいになる。金曜日には補充がほしいとのことで、受注も受けることができたーー。
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