エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
顔を上げると、先生が穏やかな笑みを浮かべて私を見ている。私服姿だからか、一瞬見間違ったかと思ってしまった。

白衣を脱いだ先生は、黒いシャツを着ていて、一番上のボタンを外している。パンツも黒色で、病院で見る姿とは真逆だった。

でも、どっちの先生もカッコイイ……。

「休みの日なのに、出てきてもらってすまないな。ご飯を食べに行こうか?」

「は、はい……」

緊張と動揺で、呆然と先生を見つめるだけだったけど、先生のほうは変わらない様子。

歩き始めた先生につられるように、一歩後ろをついていく。すれ違う若い女性がチラチラと、先生を見ていた。

やっぱり、先生って目立つよね……。改めて見ると、背は高いし肩幅が広くて、体が締まっている。

見た目が完璧なのに、さらに有能な外科医だと分かれば、女性がたくさん寄ってくるだろうな……。

そんなことを考えながら歩いていると、先生がクスッと笑った。

「並んで歩かないか? 話しかけたいのに、きみの姿が見えないんだけど」
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