エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
小さいサイズを複数個にするか、大きめを一つにするかで悩んで、大きいものを一つにした。

ドライフルーツを飾って、甘酸っぱい味に仕上げてある。

「そうなんです。仕事でお疲れだと思って、甘いものを作ってきました……」

ドン引きされたらどうしよう……。先生の反応が怖くて、直視できない。それでも気になりチラリと伺うと、先生はケーキを見たまま黙っている。

やっぱり、引かれた……? 不安な気持ちが湧いてきて、鼓動が速くなってきた。

すると、先生は真面目な顔で静かに言った。

「本当に、ありがとう。大切にいただくよ……」

「いえ……。お口に合えばいいんですが……」

紙袋を優しく後部座席に置いた先生は、エンジンをかけて車を走らせた。

迷惑だったかな。先生は、あまり嬉しくなさそうだったし……。

今夜、私を誘ってくれたのは、深い意味があったわけじゃないはず。それなのに、手作りお菓子なんて持ってきて、重かったかもしれない。

先生は今夜、どういうつもりで誘ってくれたんだろう。どういうつもりで、優しい言葉をかけてくれていたんだろう。

それが私には、全然分からない……。
< 49 / 248 >

この作品をシェア

pagetop