エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
約五十分後、車は私が住むマンション前へ着いた。五階建てのクリーム色の外壁で、十部屋ある。

駅から徒歩五分の場所で、近くには小さなスーパーやコンビニがある。雑多な雰囲気の場所岳れど、生活には便利だった。

「先生、今夜はありがとうございました。とても楽しかったです」

車から降りて、運転席の先生に挨拶をする。ここには似つかわしくない高級車が目立つのか、歩いている人たちがチラチラと先生の車を見ていた。

「俺も楽しかったよ。小松さんとは、また病院で顔を合わせることがあるだろうから」

「そうですよね……。そのときは、よろしくお願いします」

病院で……ということは、プライベートで会うことはない、ということなのかな。

それは当たり前のはずなのに、寂しく感じてしまった。

「こちらこそ。それじゃあ、おやすみ」

「はい。おやすみなさい」

車が見えなくなるまで見送ると、部屋へ帰った。先生と過ごした時間は、思いのほか癒されて楽しかったからか、まだ少し夢心地……。

また、会えたら嬉しいな。でも、別れ際の言葉からだと、望みは薄そう……。
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