エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
「うちの商品の売れ行きは好調みたいで、安心しました。ポップ、そろそろ外しましょうか?」

以前、手作りをしたポップを、高野さんはまだ貼ってくれている。すると彼女は、穏やかに首を振った。

「いえ、大丈夫ですよ。先生方からの評判もよくて、あのまま貼っておこうかなと思っています」

「本当ですか⁉︎」

評判がいいなんて、それを聞いて安心する。思わず顔がほころぶと、高野さんはクスクスと笑った。

「こういう楽しい雰囲気のポップって、院内にはないし、毎日気を張り詰めている先生たちには、癒し効果があるみたいですよ」

「そうですか……」

そういえば堂浦先生は、私と話していて癒されると言ってくれていたっけ。

毎日、気を張り詰めている……か。先生の邪魔にならないように、会えたらいいな。

甘いものを、また作って渡せたらいいのだけど。そんなことを考えていたとき、救急車の音が聞こえてきた。

思わず音のするほうへ目を向けると、高野さんが真剣な口調で言った。

「ここ数日、急患が多いんですよ。特に外科が。堂浦先生、このところ多忙続きで。売店にも来られないんです」

「そうなんですか?」

やっぱり、忙しかったんだ……。それも、急患が多いのでは、休む暇もないはず。
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