エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
あんな風に言われると、ますますリハビリなんてしたくなくなる。憮然としながら本をめくるも、なぜだか全然集中できない。

本を閉じ窓に目を向けると、外は青い空が広がっていた。気持ち良さそう……。せめて、外を散歩しようかな。

だけど、万が一でも堂浦先生に会うと気まずい。あんなやり取りをした後だし。

すっかり気持ちが萎えた私は、結局布団を被って目を閉じた……。


「リハビリは?」

あれから三日、険悪な会話をしてから初めて先生に会った。……というより、本屋に向かう途中で出くわしてしまった。

院内には、小さなコンビニや軽食を売っている売店、それに本屋がある。そこは一階にあり、私は車椅子でエレベーターから降りたところだった。

しまったーーと、気まずく感じながら先生を見る。

「予約が取れませんので……」

ほとんど視線をそらしながら言うと、先生の低い声が聞こえてきた。

「まさか、当日予約をしているんじゃないよな?」

ドキッと嫌な汗が流れそうになったのは、図星だったから。先生の言いつけどおり、“一応”それなりの行動を取ってみた。

だけど、本当は分かっている。当日予約なんて、取れないことを……。

返事をしないでいると、先生の大きなため息が聞こえてきた。
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